「………う……」







カーテンの隙間から漏れる強い光が瞼に当たって、思わず目を開ける。
ぼやけていた視界のピントがゆっくりと合っていって、古ぼけた木の天井が目に入った。


………ここは、どこだっけ……?


急速に眠りの世界から戻されたせいか、どこか頭の中がボンヤリとしている。
ボーッと天井を見つめたまま何度か目を瞬かせていると、部屋のあちこちからスースーと自分のものではない寝息が聞こえてきた。


………ああ、ここは確か和谷の家や。


漸く意識と記憶が繋がって、ボンヤリとしていた頭の中身がゆっくりと覚醒してゆく。

そうだ、思い出した。
昨日、進藤に誘われて花見に行って。何だかやたらと酒をイッパイ飲んで、そのまま雪崩れ込むようにして和谷の家に行って。
「リーグ戦の番外戦」などと言いながら、右手に碁石、左手にはビール・チューハイ・おつまみ。
碁を打ちながらそこでもしこたま飲んで騒いで隣の人から苦情を入れられ、静かにしながらまた飲んで……それからどうしたっけ?
和谷と打って、伊角さんと打って…それから門脇さんと打ったところまでは、なんとなく覚えているんだけど。
進藤とは打ったっけ? 覚えていない。
オレも酔っぱらっていたけど、進藤はそれ以上だったしなあ。




そういえば、進藤は?
どこかで寝ているのだろうか。





寝ていた身体をムクリと起こす。
畳で雑魚寝をしたせいか、首と腰が少し痛いような気がする。
首を右手で揉みながらグルリと部屋を見渡す。
カーテンの隙間から漏れる光で見える部屋の様子は、……それはもう酷い有様で。

食べ物は食べっぱなし、飲み物は飲みっぱなし。
空けた菓子の袋やビールの缶もそこら中に転がっている。
食いかけのカップラーメンが放置したまま置いてあって、ちょっとヤバイ臭いがする。

あー…さすが男ばかりの研究会。酷いモンやな。

2つある碁盤を囲むようにして、寝ているのは和谷、伊角、冴木、門脇、本田、小宮、そして……何故か押入に頭を突っ込んで寝ている越智。…さすがに奈瀬は帰ったか。
いつの間にいなくなったのだろうか。
そしてオレを入れて8人の男が6畳の部屋で雑魚寝をしてたら……そりゃ狭いよなあ。










8人の男が。












……進藤は?










オレはもう一度転がっているヤツらの名前を頭の中で反芻しながら人数を数えるけれど、どこをどう見ても進藤の姿はない。
もしかして越智のように押入で寝ているのかとも思って覗き込んでみたけれど、そこにも進藤の姿はなかった。

……もしかして、帰ったとか?

まさか。だって昨日一番酔っぱらっていたのは進藤だ。
とても一人で家まで帰れるような状態ではなかったし、ましてやこの研究会にオレを誘ったのは進藤だ。
そのオレを置いて先に自宅に帰ってしまうようなヤツではない。

でもこの部屋にいないということは……










「……トイレか!」



思わず声に出して叫んでしまう。
でもきっとそうだ。酒に酔って気持ち悪くなって戻したりしているうちに、トイレで寝てしまったのかもしれない。
和谷の家に風呂はない。こんな狭い部屋で隠れん坊をするとしたら、もうそこしか残されていないだろう。

「進藤?」

トイレの閉じられたドアを、オレはトントンと叩く。
──返事はない。

何度かそれを繰り返してみたけれど、一向に返事は返ってこない。
トイレで熟睡しているのか、……もしかして倒れて……


「進藤!」


オレは木製のトイレのドアをドンドンと力強く叩く。
突然のオレの大声とドアを叩く強い音に、眠っていた連中が「なんだぁ…?」と言いながら起き上がり始める。
トイレのドアを開けようとして引っ張るが、どうやら鍵がかかっているらしくて開かない。
中から鍵がかかっているということは、中に誰か人がいる証拠だ。


「進藤!! 起きてるか!? 開けや!」


ドンドンッとさらに大きな音でドアを叩く。だが一向に返事はない。
奥で寝ていた和谷が起きあがってオレの傍まで来て「何だよ、進藤トイレで寝てんのか?」と寝ぼけ眼で言った。


「おい進藤、開けるぞ!」
「開けるぞ、って、鍵かかってるのに開くんか?」
「トイレのドアなんて10円玉引っ掛けて捻れりゃ開くんだよ。
 特にこのアパート、古いしな」


そう言って和谷はパンツのポケットから小銭を取り出し、鍵穴に引っ掛けて強引に開ける。
そしてドアを引くと──軽いはずの木製のドアが、異常に重たかった。



そのままドアを全開に開くと、ドアに寄りかかっていたらしい進藤が、ゴトリと音を立てて床に倒れた。







「おい進藤、お前トイレで何寝て…………」








倒れた進藤から広がるのは、ドス黒い色に変色した赤い液体。



































「…………え?」

「……血……?」






































「進藤!! 進藤ッッ!!!」


「進藤!!!!」




青白く冷たくなった頬は、何度名前を呼んでもピクリとも反応をしなかった。
























「進藤!!」










Seasons


─Spring─ act.06





















「…………」
「…………」
「………………あの……」
「…………」
「…………」
「………………えー…と……」
「…………」
「…………」




















長い沈黙。
その沈黙に堪えかねたソイツは、小さな声で「うー」と困ったような声を出して頭をポリポリと掻く。


「頭掻くな!!!」
「えー、だって」
「動くな!!!」
「はい……」


ガーゼを当てようとしていた伊角さん、動かないようにと頭を押さえていた冴木さんに怒鳴られた進藤は、小さな声で「ハイ」と返事をしてますます萎縮する。
ハーッと深く溜息をつく和谷と「全く、呆れてモノが言えないよ」と言う越智を見て、オレも思わず深く息をついた。
そんなオレ達を見て、進藤は小首を傾げてエヘヘと笑った。


「エヘ、オレどうしたのかなー」
「お前が聞くな!!!!!」


その場にいた8人全員に同時にツッコミを入れられた進藤は、やや半ベソになって「だってー」と言って俯いた。
そしてまた伊角さんや冴木さんに「動くな!」と怒られる。
兎にも角にも全員に怒られた進藤は、口を尖らせて「だって覚えてないんだもん」と言った。







ここで話を戻すと。
トイレで頭から血を流し、倒れていた進藤。
焦ったオレ達が何度も名前を大声で呼ぶと、進藤は大きな欠伸をして眠たそうに眼を擦り、「なぁに〜?」と言いながら拍子抜けするくらいにアッサリと起きあがった。
そしてオレ達が「お前!! 血!! 頭から血!!」と慌てながら大声で言うと、進藤は寝ぼけ眼のまま自分の額を触り、ヌルリとした感触に「わーっ!」と驚いたのだった。

進藤の長い前髪を上げると、額の左上を僅かに切っているようだった。
「目や額は、ちょっとした傷でもすごく血が出るからね」と、傷を見た伊角さんが言った。
「ウチにも弟が2匹いるからね。よくこういう傷を作って、顔面血だらけにして帰ってきたよ」とも言って笑った。

和谷の家には当然救急箱なんてないから、朝から開いている薬局を探して手当の道具を一式買ってくる。
出血の量に比べて傷は大したことないらしいけど、打ったのが一応頭だ。
「病院へ行った方が…」と言ったが、進藤は慌てるようにしてブンブンと首を横に振った。


「大丈夫! オレバカだから!」
「や、そーゆー問題ちゃうやろ」
「大丈夫だってば! ね、伊角さん!」
「うーん…多分平気だとは思うけど。まあ、今行くっていっても進藤も金や保険証とか、持ってないだろうし。
 でも一応、近いウチにちゃんと自分で行っておけよ?」


そう言う伊角さんに、進藤は「うん!」と言って大きく頷いた。
そうして白いガーゼを当てられている進藤を見つめて、オレは急に昨夜のことを思い出す。









そういえば、リストバンド。
ちゃんと聞いていなかった。


オレの見間違いでなければ、あれは。











「おい、進…」
「あーっ!」


オレが進藤に声を掛けようとした時、トイレで進藤の汚した血の後始末をしていた和谷が、大声を上げた。
一体何事かと思って行ってみると、トイレの水槽タンクを見て和谷が項垂れていた。


「何や一体」
「…コレ! 進藤のヤツ、多分酔っぱらってすっ転んで、ココに頭ぶつけたんだろ。
 欠けちまってるじゃねーか!」


確かに水槽タンクを見ると左端が僅かに欠けて、ひびのようなものが入ってしまっていた。


「ハハ、アイツ石頭やなぁ」
「笑い事か! コレ、怒られて弁償させられるのオレなんだぞ!」
「まあ、ええやん。アイツ無事やったんやし」
「〜〜〜〜!」


和谷はバタン!と叩き付けるようにしてトイレのドアを閉じ、ドスドスと歩いていってテレビの前に座り、電源を入れる。
そして進藤と目が合って進藤が「和谷、ごめんね」と言うと、和谷は「…ったく!」と呆れたように言ってチャンネルを動かしていった。
パッパッと変わっていく画面の中、いつもの見慣れた格子模様と白と黒の石がテレビに映る。
そこで和谷はチャンネルを動かす手を止めた。


「何コレ、教育テレビ?」
「違う、囲碁チャンネル。ケーブルテレビの」
「なにお前、そんなの買って見てるの?」
「だったらもう少しイイ部屋引っ越せよ〜」
「うるせーな!」


そう言って和谷と本田、小宮が笑い合っていると、画面を見ていた門脇さんが口を開いた。


「コレ…この前の十段戦挑戦者リーグじゃないか」
「ああ、倉田さんと塔矢の」
「確か塔矢がいいところまでいって、最後に逆転されたんだよな」


小宮から「塔矢」という名前を聞いた瞬間、進藤の身体がピクリと動くのが見えた。
そのまま皆でその棋譜に見入っていると、突然画面が切り替わってどこかのホテルの姿が映し出された。


「お、なんだ? 福島県のホテル?」
「ああ、明日から十段戦が始まるからだろ」


その門脇さんの言葉通りに、テレビの中のレポーターの女がやたらと高いテンションで『明日から行われる十段戦の会場に来ています!』と叫ぶ声が聞こえた。
ということは、ここに緒方先生や倉田さんが来ているってことか。
そんなことを思いながら画面を見ていると、テレビレポーターはホテルの中へ入っていき、前日のレセプションとパーティーが行われている会場へと入っていった。
北斗杯の時と同じような立食パーティーが行われているその場所には、対局をする棋士以外にも大勢の人間がいる。
棋院のお偉いさんとか、タイトルのスポンサーとか、主催会社のお偉いさんとか。
そんな中、カメラの端の方でガツガツと食べ物を詰め込んでいる丸い身体が目に入った。


「あ」
「あれ、倉田さんじゃねえの?」


そのままカメラは近づいていき、ひたすら食べ続けている倉田さんに声を掛ける。


『倉田先生〜、お疲れさまで〜す』
『ん? 何コレ? テレビ?』
『ハイ、ケーブルテレビの囲碁チャンネルです〜』
『ふーん』


……と、倉田さんはカメラに興味を示すことなく、ガツガツと食事を続ける。
レポーターの女が困ったように『倉田先生〜、お話聞かせてくださ〜い』と言っても、まるで相手にすることなく食事を続けていた。


「ハハ、倉田さんらしいや」
「図太いっつーかなんつーか」
「や、この人は飯食いたいだけやろ。北斗杯のパーティーの時もそうやったし」
「でも倉田も、そろそろタイトルの一つくらい獲っておきたいところだろうな」
「──……」
「周りから『天才』と言われて、ここまでほとんど躓かずに来ているからな。倉田も今年で24だろ。
 『天才』としてはここで緒方先生からタイトル奪取して面目躍如といきたいところだろう」


門脇さんの言葉に、その場が一瞬静まりかえる。そして進藤の手当を終え、後ろの方で画面を見ていた伊角さんが「タイトル…か」と小さな声で呟いた。
「オレ達にはまだ遠い話だよな」と和谷が言うと、門脇さんが「そうでもないぜ」と言った。


「遠い話なんかじゃないさ、これから始まる手合いを全部勝てば来年の今頃はリーグ入りだ」
「そんなムチャな」
「ムチャじゃないさ。実際進藤くんは去年、リーグ入りはしなかったけど『勝率第一位』は獲ったワケだしな。
 倉田相手の早碁選手権も惜しかったし」


その門脇さんの言葉に全員が一斉に振り返って、一番後ろの方にいた進藤を見つめる。
額に大きなガーゼを貼られた進藤は、どこか呆然としたような、遠くを見つめるような瞳で画面のある一点をジッと見つめていた。

──その瞳は昨日の、何も言わずに去っていってしまった塔矢の背中を見つめていた時と、同じもので。

その進藤の視線を追うようにして、オレはテレビの画面を見つめた。
すると、そこにいたのは。


「あ」
「なに? 誰かいたのか?」
「ココ…」
「……って、緒方先生じゃん」
「ちゃう、その隣」

「──あ」


和谷の家の小さなテレビのブラウン管の、右端の方をオレは指差す。
するとその場にいた進藤以外の全員が一斉に「あ」と声を上げ、そんなオレ達の声が通じたのか、先程のレポーターの女が『緒方先生〜』と言いながらその場所へと向かっていった。


『緒方先生〜、お疲れさまで〜す。ケーブルテレビ、囲碁チャンネルの者で〜す』
『……どうも』
『明日はいよいよ十段戦が始まるワケですがぁ、どんなお気持ちで臨まれますかぁ?』
『いつも通りの戦いをするまでですよ』
『そうですか〜。あっ塔矢四段、お疲れさまで〜す』


そう、進藤が見つめていた先──そこには、緒方先生の隣に立つ塔矢の姿があったのだ。
ブラウン管の中でレポーターに突然マイクを突きつけられた塔矢は、戸惑いながらも『お疲れさまです』と返事をしていた。


『今回は解説として、緒方先生の対局に立ち会われるんですよね』
『はい』
『この前の倉田先生との決勝は惜しかったですね!』
『はい。でもそれは僕の力不足ですから』
『やっぱり、兄弟子である緒方先生と戦いたかったですかぁ?』
『……そうですね。今回は緒方先生の戦いを傍で見て、勉強させて頂こうと思います』
『そうですかぁ。ありがとうござ…キャッ!』
『おい! なんで塔矢にばっかインタビューしてんだよっ!』


インタビューを終えようとしていたレポーターの後ろにいつの間にか倉田さんが立っていて、レポーターからマイクを取り上げていた。


『ちょっ、倉田先生!』
『オレが塔矢に勝ったんだからね! オ・レ・が!
 だからオレにインタビューすればいいじゃん!』
『先程インタビューに行ったじゃないですか〜』
『さっきは飯食ってたの! もう終わったから、今度はオレの番!』


そうしてマイクを握った倉田さんは、カメラの前で延々と勝利宣言やら今までの自分の輝かしい戦歴、果てはこのホテルの料理の紹介…など、カメラマンを引き連れて縦横無尽の『倉田ワールド』を炸裂させていた。
その様子をブラウン管を通して見ていたオレ達は、思わずハーッと溜息をついてしまう。
……この人カラオケでもそうやったけど、マイク握ったら絶対に離さへんからなあ。


「あーあ、番組メチャクチャだな」
「ハハッ、でもある意味面白いよ。囲碁番組なんていつもありきたりでさ。
 こーゆー切り口ってのもアリじゃねぇ?」
「こんなの、倉田さんにしか出来ないけどな…」


そう言って皆が笑い合う中、門脇さんが話を戻すようにして冷静な声で言う。


「それにしても塔矢くんの『朝早い仕事』っていうのはコレだったんだなあ」
「そうか、だから昨日早く帰ったんだな」
「いや、アイツの付き合いが悪ぃのは今に始まったことじゃねぇし」
「でも変な話だな。普通タイトル戦の解説といえば、
 もう少しベテランの棋士や解説慣れしている棋士がやるモンだけどな」
「ホラ、アイツは碁界のスター様だから」
「和谷、やっかむなよ」
「もちろんそれもあるだろうけど…あとは本人が志願でもしたかな。
 兄弟子の戦いを近くで見たいとか、可愛いことでも言って」


門脇さんのその言葉に和谷が「ヘッ、アイツがそんなタマかよ」と言ってその話は終わり、後は皆口々に十段戦の予想を始め、この前の緒方先生や倉田さんの棋譜を並べて検討を始めた。
皆がそうして碁盤に向かう中、進藤だけが未だにブラウン管をジッと見つめ続けていた。
その遠くを見るようなボンヤリとした瞳に心配になったオレは、傍まで行って腰を下ろし「進藤」と声を掛ける。
だが進藤はオレの声に返事をすることはなく、ただただジッとブラウン管を見つめ続けていた。
そしてオレは再び、その目線を追って同じようにブラウン管を見つめる。
テレビ中に広がる『倉田ワールド』の端の方で、緒方先生と並んで立って何やら談笑している塔矢の姿が映っていた。

穏やかで優しい笑顔を浮かべて緒方先生と話す塔矢は何だかとても嬉しそうで、オレが見たことのない姿だった。

へえ…コイツ、こんな顔もするんや。
進藤は、こんな塔矢の姿もモチロン知っているんだろうな。

そう思って再び進藤を見つめる。



















その時オレは、初めて気が付いたんだ。





























オレ達から遠く離れたこのブラウン管の中で、進藤の恋が小さな音を立てて壊れていたことに。
























ただただ、自分から遠く離れた世界をジッと見つめる大きな瞳。
オレは慌ててもう一度、ブラウン管の中で穏やかに笑う塔矢の姿を見る。

初めて見る塔矢。
そしてその隣にいるのは──緒方先生。

そうか。





昨日進藤が『どうしてオレのことを好きになってくれないの』と泣いた時、オレは「塔矢には他に好きな人がいるからかもしれない」と思った。そして進藤に何の声も掛けることなく、足早に帰っていってしまった塔矢。
それから門脇さんが先程言った『兄弟子の戦いを近くで見たいとか、可愛いことでも言って』という言葉。

オレの勘が正しければ、全てのことに合点がいく。















塔矢は、緒方先生のことが好きなんだ。

そして進藤は今、そのことに気付いてしまったんだ。







──自分の恋の終わりに。




















オレは昨日と同じように、進藤の小さな右手を取って優しく握った。
だがその白くて華奢な手は酷く冷たくて、昨夜に感じた「火のような熱さ」はすっかり消え失せていた。

まるで、進藤の恋のように。

オレは誰にも気付かれぬよう、何度も「進藤」とその名前を呼び掛けた。
だが進藤は一切返事をすることなく、ただただ自分の恋が消えてしまった場所を見つめ続けていた。
















その冷えてしまった小さな手は、もう二度とオレの手を握り返すことはなかった。