06-09







「進藤!」


塔矢は緒方さんのベランダの真下に来ると、オレを見つめながら大声で再びオレの名を呼んだ。
オレは緒方さん同様、呆気にとられた感じで肩で息をしている塔矢を見つめた。

タクシーで大通りまで乗り付けて、ここまで走ってきたのだろう。
周りが静かなこともあって、塔矢のハア、ハアという息を切らす音さえここまで微かに聞こえてくる。




周りが静かな……





「進藤!!!」
「ちょっ……バ、バカ!! そんな大声出すな!!!」

もう夜だぞ!!
オレが大声でそう言うと、塔矢は少し黙った後、再び大声で叫び出す。



「すまなかった!!!」
「はあ!?」



今度は突然何の脈絡もなく謝り始める。
……っていうか何でアイツ、オレがココにいること知ってるんだ?



「お前何でココに……」
「僕は、自分のことばかりで、キミの気持ちをまるで考えていなかった!!」
「ちょっ……人の話を聞けぇ!!!」
「おまけに、キミに酷いことをしてしまったのに、謝りもせずにさらに酷いことを言ってしまって!!」
「だから、人の話……」

「僕は最低だ!!!」






最低だぁ!! 最低だぁ! 最低だぁ 最低だぁ………






塔矢の「最低だコール」が、誰もいないマンションの敷地内に木霊を発しながら響き渡った。
緒方さんは、先程の姿勢のまま固まって塔矢のことを見ている。

……さっきまで、オレと緒方さんはものすっごいマジメにお前のこととかを話していたんだぞ……。

先程までオレと緒方さんの間にあった湿っぽい空気は、今は微塵も残っていなかった。
塔矢の「最低だコール」に吹き飛ばされてしまったのかもしれない。





塔矢は相変わらずオレの話を聞かないまま、自分の言いたいことだけを叫び続けた。







「キミが僕の顔を見たくないのも、話をしたくないというのもよくわかる! 当然だ!!」
「おい…」

人の話を聞けよ。

「でも、僕の最後の我が侭だと思って聞いて欲しい!!」
「だから…」

何でお前ココにいるんだってば。

「僕は!!」

てゆーか叫んでないで上まで上がってくればいいじゃん。

「僕は!!」









ねえ、塔矢。

オレ────















































「僕はキミが好きなんだーっっ!!!!!」






















































好きなんだーっ!! 好きなんだーっ! 好きなんだーっ 好きなんだーっ……






今度は「好きなんだコール」かよ。
お前バカだろ、絶対。





















オレのこと好きなんて、絶対バカだ。