再びこんにちは! 執筆人@くりです。
innocentを最後まで読んでくださり、さらにこのようなオマケページにも目を通して頂けている皆様、本当にありがとうございます。
今日も元気に第2部の裏話なんかを書いていきたいと思います。ウフv

第1部の連載期間が約半年間だった(2003年5月〜2003年年末くらいまで)ため、第2部も半年ちょっとで終わるだろうと思っておりました。
ですが蓋を開けてみれば、実に連載期間は1年以上(2004年1月〜2005年3月くらいまで)かかってしまいました。
今にして思えば、私にとって2004年はまさに「第2部の年」だったんですね(笑)
しかもその1年のうち、大半を占めていたのがact.09…永夏と秀英が出てきた「韓国編」でした。
私にとっても色々な意味で(笑)思い出深い「韓国編」。
この辺なんかもお話出来たらいいなあと思っています。


第2部の大きなテーマは、第1部で「初めてスタートラインに立った二人」がどのような道を歩んでいくか、何を選んでいくか。
そしてその先に待ち受ける、大きな運命のうねりとは……というものでした。
第1部で、どうやらヒカルには何かの『目的』があるらしい。他にも何か『秘密』があるらしい…ということをボンヤリと書きました。
ヒカルの抱える真実を、深く深く覆っている皮を一つ一つ剥がしていく。
それが、私が執筆する上での、第2部のテーマでもありました。





『It's You, On My Mind』
数あるタイトルの中でも、一番マニアックで由来がわかりにくいモノだと思います(笑)
コレはですね、act.07を書いていた当時私がハマっていた『きらきらひかる』というドラマのサントラから頂いたものです。
「あなたのことが気にかかる」とか「あなたがいつまでも私の心の中にいる」みたいな訳になるのかな。

act.06で漸く「お前(キミ)が好きなんだ」として向かい合えた二人のスタートに合うようなタイトルを探していて、行き当たったものですね。(曲もいい感じなんですよ)
act.07のテーマが『僕は(オレは)もっとキミの(お前の)ことが知りたいよ』というものでしたので…。

ちなみにその「あなたがいつまでも私の心の中にいる」というフレーズが、ラストの未来のアキラのモノローグ(act.07-8

「そして僕は、待ち続けている。」

にかかっていくのですが。




で、act.07。
act.06終了から少し間を置いての連載スタートで、しかも第2部。
出だしにものすごく悩んだ記憶があります。
普通にアキヒカの新婚生活(笑)から入っていいものか、それとももっと何かテーマを置いた方がいいのか。

act.07で加賀を出すのは初めから決めていたことだったので、それに絡めて、原作にも出てきたアキラと加賀の幼い頃の話を小説にして書くところからスタートしてみることにしました。原作の2巻のエピソードですね。
アキヒカで始めてしまうと、あまりにも予想通りのような気がして、裏切ってみたくなったのでした(笑)
案の定、涼子には「意外な始まり方で驚いた」と言われた記憶があります。

今にして思うと、このact.07がコメディタッチでバリバリと書いていたinnocentの最後だったのかもしれません。
act.06は一部にコメディな部分もあったりしましたけど、基本的にはシリアスだったし、次のact.08からはいよいよ佳境に向けてのスタートダッシュに入ることも決まっていたので、act.07は上記に書いたような重い(?)テーマがありつつも、比較的コメディだったような気がします。

その最たる部分がact.07-2でしょうか(笑)
アキラとヒカルの「上下論争」という……女性向け同人小説では禁断(笑)のテーマの話……

いやー、コレは書いていて楽しかったなあ!(笑)
「男」として追い詰められるアキラさん(笑)は書いていて非常に楽しかったですね。
後半の、どっちが上か下かで悩む内容を囲碁の勝負に準えながら書くのとか、本当に楽しかったです(笑)


ヒヨコの再びトドメを刺すかのような強烈な一手に、僕の石はもう生きる道は残っていなかった。
もうこの局面はグチャグチャだ。僕の頭の中のように。
でも。
でも。
僕だって棋士だ。このまま打たれっぱなしで終われるものか。
どこかに──どこかに生きる道がかならず残っているはずなんだ。
どこかに──。



とかね(笑) 楽しかったなぁ!(笑)

どうもこの頃のアキラさんは、ヒカルを動物に例える癖があったみたいですね。
act.02-9ではハムスターだし、act.07ではヒヨコだし。
どっちも黄色(?)っぽくて小さな生き物であることには変わらないのですが(笑)

最後、将棋で決着を!
というのは、一応この後に登場する予定の加賀への前フリなんですよ。
act.07オープニングでも加賀に触れていたし、その関連もあって将棋にしたんです。





そしてその加賀様。
役者になって登場しましたねえ。何でだろう(笑)
コレは最初から決めていたワケではないですね。加賀の職業は悩んだんですよ。

本当はね、医者にしたかったんです。ヒカルの担当医にしたかった。
でも年齢的に合わないのと、加賀様自身もドラマチックな男(笑)なので下手すると加賀ヒカ(ウチのサークル、加賀ヒカやってたこともあったんですよ)になっちゃう恐れがあったのでその設定はボツにしたんです。

とにかく加賀には将棋を辞めていて欲しかった。
加賀というのは原作でも少年マンガらしい強烈なキャラクターで、ブッチギリにカッコイイ男だと思います。
顔もカッコ良ければ勉強も出来て、しかもチョイ悪(笑)なのに将棋の才能もある。
そんな何でも持っていそうな加賀が、自分の夢なんて容易く叶えていそうな加賀が、一番大切にしていたものを捨てていた。
捨てざるを得なかった。だって、才能が足りなかったから。

ヒカルやアキラが生きている「勝負の世界」の激しさ。
「夢」ではない「現実」の厳しさ。
大切なものを捨ててしまった悲しさ。
それでも生きていかなければならない辛さ。


アキラとの関係が良好とはいえど、どうしてもどこかでブレーキをかけてしまうヒカルの背中を、加賀様に押して欲しかった…というのが、この加賀様登場の目的でした。
原作でも院生になるのに迷っていたヒカルの背中を押したのは加賀様だったので、やはり悩むヒカルを助けてくれるのは加賀様だろう、とそんな原作とのリンクの意味もあったりしたのでした。



加賀様を役者にした理由。なんだったかなー(笑)
あー、あれかな。原作の読み切り(?)「本能寺の変」のヤツ。(原作の6巻に収録されています)
織田信長の加賀様が非常にカッコ良かったので、「きっとこの人は舞台映えする人なんだろう」とか思ったのかな(笑)
芝居を打つのとかも上手そうだしね(読切で筒井のフリとかしてたし)
でも結果的に、第1部で書いた「ヒカルの芸能活動」とのリンクが出来たので、ちょうど良かったかな。

ちなみに加賀が将棋を捨てて、演劇に目覚めていく過程は、僅かですが三谷が主人公の読み切り『マイ・ウェイ』という本に書いています。


少し話が前後しますが。
矢部先生というオリキャラが全面的に出てくるのも、このact.07からですね。
アキラの幼い頃を知っていて、ヒカルの身体の秘密も後に知る(気付く)矢部先生。
このact.07-4.2で初めてヒカルの身体のことについて具体的に触れたかな。
あとact.07-6.5。この時のヒカルが言う

午前中に矢部先生に貰ったアイツ

というのは、紹介状のことのつもりでした。大きな病院に行きなさい、というヤツ。
でも結局この辺の描写は書きそびれてしまいましたね。

とにかく矢部先生はどんどん重要なキャラになっていって、我ながらお気に入りのキャラになるのでした。




そうそう、アキラが名人戦に挑戦していますよね。
本格的な囲碁描写をし始めたのも、このact.07からでした。

実はですねー…今更こんなことを言うのもアレだし、皆様の夢(笑)を壊すかもしれませんが、私、囲碁って全ッ然わからないんですよ。
かろうじて「星」の場所と「右上スミ小目」の場所がわかるくらいですね(笑)
ひーっ、すみませんすみません!!(土下座)

だからねー…本ッッッッ当に囲碁描写は大変だったんです。
んもう、苦しくて苦しくて。文章からもそれが滲み出てないか、チェックするのもしんどいくらい苦しかった(笑)

でも、ヒカ碁の、アキラとヒカルの小説を書くのに当たって、囲碁の描写を全く入れないワケにはいかないんですよ。
むしろ最も重要なアイテムでなければならない。原作の世界を壊したくはないし、小説の内容にそれなりのリアリティと奥行きを持たせるためにも、対局の描写はすっ飛ばすワケには絶対にいかなかった。

なので、んもー…ネットや新聞などで調べまくりましたよ(笑)
まずはモデルとなる対局を探してきて、それの解説資料を探してきて、そしてさらにそれを小説用に噛み砕いて書く。
でもやっぱり、私の書いているものは「囲碁小説」ではなく「女性向けの同人誌」でもあったので、あまり長々と対局描写を入れると読者様が飽きてしまう恐れがある。

簡潔に、そしてわかりやすく。
「勝負」という緊張感が伝わるように。
この対局が当人にとってどんな意味合いを持っているのか、わかるように。
そして囲碁をおわかりになる方が読んでも、それ程変(笑)な描写をしないように。


そんなことをいつも心がけて書いておりました…
でも本当にその作業は辛くて、対局が近づくと「あーもうすぐ対局だー…」なんて、私自身も無駄に緊張していたりしました(笑)

上手く書けていたかどうかは、わかりません(笑)
囲碁をご存じの方には鼻で笑われるような描写も一杯あったと思います。すみませんでしたm(_ _)m
ご容赦ください。




んで。
その囲碁描写が本格的に書かれるようになったのが、このact.07-4のアキラの名人戦でした。
アキラには最終的に行洋と対局して欲しいことはこの頃からすでに決めていたので、まずは行洋が持っていた名人をアキラに獲って欲しかったんです。時期的にもピタリと合ったので(名人戦は10月〜11月にかけて行われる)良かったですね。

ちなみに行洋が引退した後の名人には、芹澤先生になってもらいました。
ヒカ碁原作の読み切り『岡くんと庄司くん』で、アキラのセリフ「芹澤先生の研究会に誘われていて…」という言葉から頂いて、芹澤先生を名人したんですよ。(その辺でも、原作とのリンクを楽しんでもらいたかったので)

なかなかこの芹澤先生は書いていて楽しくて、緊張感の溢れる方だったので、書きながら身の引き締まる思いでした(笑)
ちなみにinnocentの世界観を解説したオフラインの本『innocent world guide book』にて芹澤先生のプロフィールを載せていますが(私の想像です。原作の設定ではありません)、「趣味:蕎麦打ち」とか書いちゃいました(笑)
や、なんとなくビジュアルから想像されるイメージで……蕎麦とか打ってたら似合いそうだなーとか。
んで、研究会でお弟子さんたちに食べさせたりね(笑)
この設定に涼子は爆笑してました(笑)


++++++++++++++++

〜こぼれ話〜

++++++++++++++++



最後にヒカルが猫の「アキラ」を拾います。
act.07の最大の目的は、「アキラに名人を獲らせること」「ヒカルが猫を拾うこと」でした。
この「ヒカルが猫を拾う」ために、act.05-4.5の「ヒカルが猫を助けるために木から落ちて怪我をする」というエピソードを入れたんですよ。
突然猫を拾って、ヒカルが思い入れたっぷりに「アキラ」と名付けるのも変だったので、クッション的な役割で伏線(といえる程のものでもありませんが)を一つ入れておいたのでした。
ちなみにこのヒカルとあかりと猫のエピソードは、『innocent world sweet pain』という本で、涼子がマンガにしてくれています→こちら



この猫を出したのは、劇中でヒカル本人が言っていますが、

「(もしもオレがいなくなったとしても)お前のことを抱きしめてくれる人は、抱きしめる人は、いる?」

という目的から出したものです。
ヒカルが名付けた(しかもアキラと)猫と、ヒカルがいなくなった後で暮らすアキラ。
アキラは、ヒカルがいなくなった後にこの猫アキラを抱きしめて、その優しい温もりで、ヒカルの温もりを思い出す日もあったのではないでしょうか。

また、この「猫を抱きしめるアキラ」というのは、act.10-6のラストで、猫アキラを抱きしめてワァワァと泣くアキラへの伏線でもあります。



ちなみに、上記の「お前のことを抱きしめてくれる人は…」のヒカルのセリフは、次のact.08のアキラのお見合いへと繋がってゆき、ヒカルがアキラに向かって「その名前で呼ばないで!」と叫ぶシーンは、act.09の永夏登場の伏線の意味もあったのでした…







ということでact.08『CROSS ROAD』
innocentでも最も多いミスチルのナンバーからとったものですね。有名な曲なので、ご存じの方も多いと思います。
このタイトルは非常にわかりやすいと思いますが、意味は二つあります。

ラストact.08-5で秀英とヒカルが出会うのは、十字路の交差点
そしてヒカルがアキラの目の前でついに倒れてしまうのも、この交差点
さらにこの日(アキラの誕生日)はヒカルが倒れる前日でもあり、「アキラとヒカルの運命が大きく交差して動き出す日」という意味合いも込められています。

……というように、このact.08は、お話が大きく動くことになるact.09への前フリの章になります。
act.09の展開が先に決まっていて、それの前フリのために用意された章でした。
目的は3つ。

・今と同じままではいられない、いつか前へ進まなければならない(=つまり二人の運命が大きく動き出すということ)、
 ということをアキラとヒカルが自覚すること
・アキラとヒカルをact.05のようにもう一度引き離すこと
・韓国勢を登場させること


その中でも最大の目的は、「韓国勢を登場させること」
最後のシーンで秀英を出すことは私の中で絶対だったので、とにかくそこに向けて走りきる章でした(笑)







冒頭。
ヒカルの、佐為を思い出すモノローグから始まります。
act.08まで来て、回想シーンではありますが、ココで初めて佐為がマトモに登場していますね(笑)



冒頭の



桜はすぐに散ってしまう。

線香花火の火はすぐに落ちてしまう。

色づいた木の葉はすぐに散ってしまう。

手に落ちた雪はすぐに溶けてしまう。


碁盤だって、打つ度に無数の小さな傷がついていく。
碁石だって、打つ度に少しずつ欠けていく。

棋譜だって、何年、何百年、何千年と打ち続けていけば、その形を変えていく。



というモノローグ。
このモノローグは、私の中の「ヒカルの碁」のイメージですね。
なんというか、季節や時の移り変わり、それによって姿を変えていくこと。
そしてそこに「儚さ」「切なさ」といった「美しさ」があるということ。それが私の中の「ヒカルの碁」。
原作がほぼ実際の季節や時間の流れと並行して進んでいったせいもあるのでしょうけど、すごく「季節」を感じるんですよね。
そして、その象徴となるのが、佐為

小畑先生の画集『彩』でも「季節」をテーマにしていて、それのメインを飾ったのは佐為でしたよね。
そんなコトもあって、きっと私の中で「ヒカルの碁」=「季節」というようなイメージがあるのだと思います。
「季節」が変わるということは、「時が流れる」ということですからね。
その象徴的な存在が佐為というのは、当然といえば当然のことなのかもしれません。


そんな思い入れもあって、タイトルコール前の冒頭モノローグの中では、私はこのact.08が一番好きですね。
また、act.08が「運命が大きく動き出す前触れ」というのをテーマにしているので、今までほとんど登場しなかった佐為を出して、「何か大きな事が起こるのでは」というような荒らしの前の静けさ的な、緊張感を出したかったというのもあります。
いかがだったでしょうか。

ちなみに、このモノローグが我ながらとても気に入ったせいもあって、「sweet pain」という本の表紙に、英訳して入れています。(英訳が正しいのかどうかは、ちょっとわかりませんけど(^^;)





序盤。
筒井さんが棋院出版部の編集部員として登場しますね。
原作の終盤で北斗杯を観戦しにきていたこと。本が好きなこと(笑)。そして囲碁がとても好きなこと。
囲碁が弱かろうが何だろうが、きっと筒井さんはこの先もずっと囲碁と関わり合いながら生きていくんだろうなあ、と。
ということで、編集部に席を置いてもらうことにしました。そうすれば、秀策全集を執筆しているヒカルと絡むことも出来るしね。

でも唐突に筒井さんを物語に放り込むのが嫌だったので(理由なく脇役が出るの、好きじゃないんです。必ず裏付けや背景が欲しい)、「古瀬村さんの後輩で、門脇さんも同じ大学出身。ちなみにその大学在学中に門脇さんは学生チャンピオンになった。古瀬村さんの紹介で出版部にアルバイトとして入社した」…という設定を作りました。innocentの「人間関係の輪」に、筒井さんも組み込んでみたんです。
自分的に、筒井さんのイメージとこの設定はなかなかピタリとハマッたような気がしていて、気に入っている設定の一つです。

それともう一つ彼には登場理由があって、前のactで加賀が登場していたので「加賀といえば筒井さんでしょう」と(笑)
さらに、act.08の中盤でアキラの先輩にあたる日高さんが登場することも決まっていたので、その対になるキャラが欲しかったんです。
で、ヒカルの先輩にあたる筒井さんを出しましょう、と。そんな理由もありました。


この編集部の描写のラスト(act.08-1)で、編集部員たちが秀英と永夏の話をしていますね。
すっごくわかりやすい前フリなんですが、とにかく「秀英たちを出すぞ出すぞ〜」というテンションが私の中で沸き上がっていた時期で、書かずにはいられなかったというか(笑)読者様にも、一緒にドキドキして欲しかったのでした。




act.08の時期は12月13日。アキラの誕生日の前日ですね。
このアキラの誕生日を境に、アキラとヒカルの運命が大きく動く…というのは連載前から決めていたことでした。
12月14日を境にして、二人には暫くの間、過酷な運命と立ち向かってもらわなければならない。
なので、その直前──つまり最後に、二人に「ラブラブな気分」を味わってもらいたかった。
そのお話が、「ヒカルがアキラの誕生日を祝う話」act.08-2なんです。

innocentはアキヒカの物語でありながら、「アキラとヒカルのラブラブ話」というようなエピソードはほとんどありません(笑)
きっと裏では二人はラブラブなのだと思いますが(笑)、ストーリーの流れとしては描写する必要がなかったのと、私自身があまり「ラブラブ話」が得意でないせいもあります(笑)

なので、このact.08-2では、とにかく「アキヒカ!アキヒカ!ラブラブ!」ということを意識しまくって書いた回でした(笑)
こんなにアキヒカを意識したのは、このエピソードだけかもしれません。
そうやって書いているうちに調子に乗ってきて「エロもちょっと入れてみようかな」と悪ノリ(笑)
「生クリームを舐める」とか、私の中でエロ度MAXですね!(笑) ヤッてるよりもずっとエロいよ!!(笑)
なんていうか、濡れた空気の中の色っぽさ、というか。……何言ってんだ、私(笑)
とにかく書くのに楽しかったエピソードでもあります。

また、ここの時点でアキヒカラブラブ度と、アキラさんの中の有頂天度をMAXにしておく必要があったんです。
このエピソードを頂点として、アキラさんは真っ逆様に下降していきます。
つまりこのact.08-2がスタート地点で頂上だとすると、ゴール地点はact.10-6で最下層ですね。
真っ暗な部屋で、アキラが一人でわぁわぁと泣く話です。

ここの「明」「暗」を感じて頂けると嬉しいです。






序盤の終わり。
act.01から満を持して再登場、社が出てきます。
このact.08の時点で、社は唯一「ヒカルの真実を知る男」なんです。だから彼はアキラにとってキーマンなんですね。
後半のact.08-4.9彼の一言で、アキラの運命は大きく動き出すのですから。

innocentの物語の中で、アキラとヒカルのことを深く理解し、さらに客観的に見ることの出来るキャラ緒方しかいないんです。
それってつまり、「読者様の視点に一番近い」ということなんですよね。

そういった意味でも、社は私の中で本当に大事なキャラで、このact.08-3で彼の再登場を書いた時は「ついにここまで来たか」という気持ちで一杯でした。



そうそう、このact.08-3
一柳先生がヒカルにアキラのお見合いのことを伝えてしまうのですが、「歩く碁界の芸能デスク」一柳先生。
彼はアキラのお見合い以外にも、さりげなく「冴木×しげ子」「飯島×奈瀬」というネタを落としていってくれています(笑)
こーゆー風に、エピソードの中にさりげなく「原作のあのキャラのその後」を入れるのが私は好きで、よくそうやって遊んだりしてました(笑)

ちなみにこの「冴木×しげ子」「飯島×奈瀬」にはきちんと馴れ初めもあって、ストーリーも考えてあるんですよ。
2005年の秋頃に行ったinnocent world 読者様感謝企画! 『innocent world -another storys-』 で、この二組のエピソードも番外編執筆候補に入っていたのでした。選ばれなかったけどね(笑)
ちなみに「冴木×しげ子」のストーリーは『Happy Days』「飯島×奈瀬」『朝がまた来る』というタイトルにする予定でした。






中盤。
アキラさんと日高さんのお見合いですね。
act.07ではヒカルの先輩である加賀を出して、ヒカルと絡ませた。
それと対を成すように、と、アキラのお見合い相手には彼の先輩である日高さんを選んだのでした。

原作でもどこか「女王様」的なところがあった彼女。
海王中って私立の名門っぽいから、きっと彼女もお嬢様とかに違いない。
んで、名人を獲ったアキラのお見合い相手で、アキラが簡単に断ることの出来ない相手……名人戦を主催している新聞社の社長令嬢とかどうだろうか。おお、なんか日高さんっぽい。


……みたいな、また私の「脇役の設定付け」癖が出て作られた日高先輩。
書いていてなかなか楽しいキャラでした。
性格がハッキリしているので、口調とかが書きやすいんですよね。

日高さんも「医者志望」にしてしまいました(笑) 私、お医者さんっていう職業が好きみたい(笑)
日高さんが入りたいと言っている『国境なき医師団』は本当にあるんですよ。

そうそう、岸本さんのこともチラリと書いていますね。
彼は日高さんと同じ大学で(私の中では慶●大学のイメージ)法学部に在籍。
最初は「警察官僚」を目指してもらおうかなあ、と思っていたのですが、なんとなく違う気がして「検事志望」にしてしまいました。
別に理由はないんですけどね。雰囲気?かなあ(笑)

日高さんとはたまたま同じ大学に在籍していますが、会うことはほとんどありません。大学の学食で擦れ違うくらいか(笑)
ちなみに、「二人は過去に付き合っていた」とか、そーゆー設定にもしていません。
本当に、中学の時の「部活仲間」というくらいの間柄だったんじゃないのかなーと思っています。




アキラとヒカルと社の鍋パーティーから始まる後半。
何故ヒカルが水炊きが得意なのかというと……何故だろう?(笑) 特に理由は決めていません。
でもヒカルって鍋奉行なんじゃないかなーと思いますけどね。

社×相川さん
これも特に理由はないんですよ。このエピソードは、実際にact.08-4.7を書き進めながら考えていったんです(笑)
社は賢そうだし、強面っぽく見えるワリには優しいし。だから彼女くらいいても不思議じゃないよなー、と。
オリジナルキャラは嫌だったので、原作に出てきたキャラで適当な女の子はいないかな。
そう思って探そうとした時に、ふと頭に思い浮かんだのが北斗通信社の相川さんだったんです。
まあ、第2部の女性キャラって、彼女くらいしかいないし(笑)
北斗杯を通じて、彼はアキラやヒカルと友達になったり、お父さんに認めてもらうために頑張ったり。
彼の囲碁人生において結構な転機ですよね。だからこの北斗杯で運命の女性とも出会ってもらおうと(笑)
彼と相川さんの馴れ初めはact.08-4.7で書いていますが、結構自然な流れじゃないかなーと自分では思うのですが(笑)
どうでしょうか。

社の恋バナに無遠慮にツッコミを入れるアキラさん(笑)
コレは書いていて楽しかったですね。新たなアキラの一面を書いているようで。
ヒカル以外の男子たちと絡むアキラは、書いていて楽しいんですよ。和谷とか社とか。
ヒカルと知り合うまで同世代の友人がほとんどいなかったアキラが、ヒカルと出会ったことで和谷や社と親しくなっていく。
なんか、そーゆー過程を書くのがすごく好きで、和谷や社と話すアキラを書くのは楽しかったです。
このact.08-4.7や、オフラインで出した『Last Christmas』なんかは、完全にそういう話ですね。

この3人の鍋パーティーは、最後の楽しいひととき…という感じですね。
この後の展開を知った上で読むと、ちょっと切ないものがある…かな?




そしてこのパーティーでの、ヒカルの何気ない一言から物語は──innocentは大きく動き出すことになります。
当初に挙げた目標「アキラとヒカルをact.05のようにもう一度引き離すこと」です。

何でヒカルが突然こんな風に言い出したかというと、社がact.08-4.9で解説してくれていますが、理由は2つあるんです。
1つは社が言ったように、「アキラが自分に黙ってお見合いをしていたことでイライラした」んですね。
もう1つは、ヒカル自身が言うように「アキラがお見合いをした。いずれアキラは結婚して、子供を作って。幸せな家庭を築いていく。でも自分はそこにはいない」…というような寂しさというか不安というか。

これはもう、ヒカルのエゴなんです。
自分が近い将来、どのみちアキラの元から去ってしまうことはわかっている。
でもアキラが自分の元から去っていくのは嫌だ。もう置いていかれるのは嫌なんだ。

……という。佐為のことがトラウマになっているのもあるでしょうけど、完全に自分勝手な言い分なんです。
そしてそれが「自分勝手だ」ということもヒカルはよくわかっているので、より一層イライラしたりするんですね。
で、それが頂点に達すると、家を飛び出していってしまう…という。
でもその「自分勝手」な気持ちこそが、「アキラが好きだ」という気持ちの表れなんですよねぇ。

この辺のヒカルの「深層心理」みたいなものは、自分で書いていてもなかなか複雑で、書いているうちによくわからなくなることがありました(笑)
そんな時は、私は余計なことを考えずに、ヒカルの言いたいように言わせてみたりしていたんですよ(笑)
もしかしたら、私よりも読者の皆様の方が、よりヒカルを理解してくださっているかもしれませんね。



act.08-4.9のラストの社のセリフ。


「お前、ホンマにまだ何も知らんのか?」


いやあ、コレが書きたいがために社をずっと書き続けてきたというか(笑)
私の中で、社の一番のセリフです。
この彼の一言から、何も知らなかったアキラの運命は、大きく動いていくことになるのですから。
このセリフを書いた時は、さすがに自分でも「おおおお!」と思いましたね。興奮しました(笑)





そして、ラストシーン。
一人道を歩くヒカルは、十字路で秀英と再会します。
運命が交差する場所──というようなイメージで、ラストシーンは書きました。
ここで秀英を出すのは第2部の一つの目標でもあったので、感慨深かったです。

ちなみに秀英がいたコンビニというのは、原作の9巻で、ヒカルと秀英が初めて出会ったコンビニなんですよ。
あの側に十字路があったかどうかは…わかりませんけど(^^;)




大きく動き始めた運命。
漸く物語は、第2部の佳境へと突入していきます。
次のact.09は書き手である私自身の予想を大きく覆す「韓国編」が大部分を占めました。



この裏話は、話すととても長くなりそうなので、また次回にしたいと思います(笑)